後味の悪い話

【世にも奇妙な物語】扉の先

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死刑囚のみが収容されている刑務所。
男はそこの囚人だったが、
隣の房に入ってきた新入りの
悟りきったような態度が気に食わない。

刑務所内では「移送」の噂があり、
それによると受刑者の何名かは
移送されないまま処刑されるとなっていた。
男はそれを逆手にとって
新入りを脅す作り話を聞かせる。
「この先で廊下が二手に分かれているだろう。
 あの先に何があるか知っているか?」
 処刑された遺体の片付けを手伝わされたから
 俺は知っている」
「廊下を右へ曲がればセーフ(移送)、
 左ならアウト(死刑執行)だ……」

最初は無関心を装っていた新入りだが、やがて
男に話の続きを促すようになる。
内心ほくそえみながら話を続ける男。

「……左へ行くと扉があって、その先も廊下が続く。
 何個目の電球が割れていて、その行き止まりに
 手形が付いた扉がある。
 手形は囚人達が最後の抵抗で
 しがみ付くために塗装がはげた跡だ。
 そして、電気椅子が待ち構えていて処刑されるんだ……」
新入りが取り乱すようになったのを見て満足する男。

ある日新入りが房から出され、連行される。
廊下の突き当りを左に行く刑務官と新入り。
取り乱す新入りの叫びを聞いて面白がっていた男だが、
そのまま房に戻ってこないのを疑問に思う。

やがて、男も房から出され、連行される。
話し掛けても何も答えない刑務官。
廊下の突き当りを左に曲がると
自分の作り話と同じ風景になっていた。
進むに連れて恐怖に慄く男。
手形が付いた扉を通るよう促された時、
男の恐怖は最高潮に達した。

男の遺体を運ぶ刑務官。
「また心臓麻痺か……」
扉の向こうは外に通じていた。
連行されたのは移送のためだったのだ。
なかなか閉まらない扉。
刑務官が手馴れた様子で
扉に手を押し当て閉める。
「建付けの修理はまだかなぁ」
手形は、刑務官達による長年の操作で
付いたものだった……。

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